―――獄寺の笑顔を、もうどれほど目にしていないか。
痛みすら生じさせそうな思考に蓋をして、綱吉はことさら明るさをまとった声で彼を呼ぶ。
獄寺君。呼べばそう、彼はきちんと返事をくれるのだ。
ピン、ときつく張られたような緊張を裏に。
嬉しい嬉しいと全身で語ってくれていた以前の笑顔とほど遠い、ぎこちない笑みで。
どうしてこんなことになったのか、なんて。考えるまでもなく答えは出ている。
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二枚ある内の一枚を隣立つ彼女に向けて、綱吉は微笑んだ。
「これ、ウチの母さんが福引きで当てたんだけど、よかったら一緒に行かないかな?…その、本のお礼に。」
唐突な誘いに返るのは、驚きから嬉しそうなはにかみへと流れる彼女の表情。
色づくような移り変わりに、胸の疼きがほんの少し和らいだ。