*クリスマス?誕生日?とちょっとリンク
バラバラバラと耳を突く音。
バサバサバサと頬をたたく自身の髪をおさえ、骸はひさびさに呆気にとられた顔をさらした。
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「どーだ、骸!驚いただろ!」
吹き荒れる風をものともせず、綱吉が両手を腰に骸を向いた。
いつまで経っても幼いその顔には満面の笑みが広がっているけれど。
「………綱吉君」
「何?」
「きみ、コレ、いつ用意したんですか」
「ん?昨日、だったか?」
うっすらと隈を作っておきながら言うことだろうか。
こんなことを画策しているよりも、さっさと寝た方がいくらも建設的だというのに。
目も開ききらない爆風の中、ヘリから戸惑いもあらわに降りてくる姿。
それは綱吉ではなく、骸と長くの付き合いがある二人で。
犬が骸を見つけて、落ちつきなさ気だった顔を喜びに染める。
千種が眼鏡を押し上げながら、小さく微笑んだ。
まるで隔てた時すらも吹き飛ばすかのような、再会。
そして、
「骸様」
いつもよりもどこか弾んだトーンで呼んでくる、凪の声。
「…全てを己の力でこなさなければ完璧なプロデュースとは言えないんじゃないんですか?」
「うわ、お前、ここで言うことがそれ?!」
もっと他にあるだろ!すごいとか驚いたとか、さあ!
風に負けぬよう張り上げる綱吉の声も、内容と正反対にどこまでも機嫌が良く。
綱吉だけでなく力を傾けているのだろう凪がこらえられぬように笑いだす。
今の骸の素体は雨フクロウによるもの。支えるのはあまねく全てを包容する綱吉の炎と凪の力。
暗い水牢など遠く感じさせる光景が、霞むことなくこの目の前にある。
「……祝われるのなんて勘弁だと、僕は言いませんでしたかね?」
「いーや。お前が言ったのは『お祝いなんて結構です』、だ」
軽く口真似した調子のまま、綱吉が日本語の“結構”は二通りの使い道があると告げる。
NoとSi、二つの意味。
「まるで詐欺ですね」
「霧の守護者にはお似合いだろ!」
言ってさし伸ばされる右手。
左手は凪が歩み寄り。
どうにも拒みにくい二つが揃ってしまえば、骸に成す術があるはずもなく。
「「Buon
Compleanno!!」」
渡された祝いの言葉と手のひらに、緩やかに止まりつつある風の中心へと歩きだす。
残る二つを耳にするまで、もうあとわずか。
*犬や千種に関する点は当サイトの勝手設定が入っています。
→穏やかな場面で4人は顔をそろえたことがない。
09.06.08UP