その道の中で




    獄寺君が手を振りながら『10代目!』と呼んでいて、山本がその隣でいつも通りに気持ちのいい笑顔で待っていてくれる。
    向かう間にランボがそわそわと楽しそうに寄ってきて、お兄さんがすれ違い様に力強く背を叩いてくれる。
    ふと目をやれば、隅の方でありながら何気に良い場所で骸とクロームが美味そうなワインを傾けている。
    群れが大嫌いなヒバリさんまでもが珍しく、奇跡のようにこの場所に居た。
    一歩、一歩、進む道。
    そして目指す先、
    横暴で無茶苦茶で恐ろしく強い家庭教師が泰然と足を組みながら、至極彼らしい笑みと共に言った。



    ―――ああ、そうだ。これでいい、と笑う。
    己の道に悔いなど一欠片もないと笑い飛ばしてやる。
    まだ、勝負はついていないのだから。

    「リボーン」

    呟き、空にのせたのは無敵を表す、その名。



    “彼”は笑った。
    綱吉、と呼んだのだ。
    進む道の、目指す場所で。

    だったら這い上がるしかない。辿りつくしかないのだ。
    それが、彼を家庭教師とした綱吉の進むただひとつの道。




                                                                                                                                            09.01.10UP